作品情報⇒https://press.moviewalker.jp/mv89979/
★★★★★★
以下、上記リンクからあらすじのコピペです。
=====ここから。
2020年、エドワルド・リモノフ死去のニュースは、ロシアだけでなく世界中に衝撃を与えた。
詩人にして革命家、亡命者であり兵士と幾つもの顔を持つ彼は、名声と自由を夢見て亡命。恋人とともに辿り着いた“自由の国”アメリカで、孤独と挫折に打ちのめされながらも、自らの言葉で世界と闘い続けた。
暴力と詩、愛と怒り、思想と行動のはざまで世界を挑発し続けた彼は、称賛と危険視の両極で語り継がれることになる。
=====ここまで。
キリル・セレブレンニコフ監督作品。
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「インフル病みのペトロフ家」ですっかりセレブレンニコフのファンになってしまったので、テーマ的にはあんまし興味ないけど、主演はベン・ウィショーだし、見ておくべ、、、と思って劇場まで行ってまいりました。
~~以下、ネタバレしております。また、悪意はありませんが、若干悪口もありますので、よろしくお願いします。~~
◆出た、承認欲求肥大男。
予告編とかゼンゼン見ていなかったし、リモノフがどんな人かはネットでチラ見したくらいで予備知識なく見たのだが、いきなりセリフが全部“英語”なもんで、出ばなを挫かれた気分。ソビエトでのシーンなのに英語で喋ってるソ連人のリモノフたち。……ベン・ウィショーが主役なので、アメリカ亡命時代は英語だろうと思っていたけど、まさか全編英語とはね。
まあでも、映画じゃよくあることだしね、、、と気を取り直してスクリーンに集中する。
……が。
ナニこの男、、、トラヴィスやん。と前半で思ってしまってからは、かなり白けた気分で見てしまった。
私、この手の人間、嫌いなんですよ、、、マジで。
いや、実は、リモノフについてネットで調べた時点で予想はついていたわけだけど、まさかココまで酷いとはね。想定外だったよ。この手の人間とはどんなヤツかというと、簡単です。
「承認欲求肥大化人間」
何だかんだ言ってるけど、突き詰めると名声を手に入れたいだけ。そのためなら犯罪スレスレなことでも平気でやる。金や女を派生で欲しがる人もいるけど、それは二次的な要素で、要は「有名になりたい」という極めて分かりやすい欲望に支配されている人たちなのだ。
人それぞれだから、それは構わないけど、そんな抽象的な欲望に振り回されて破滅的に生きる人って、見ていて不愉快なのよ。なぜかというと、彼らの思考回路は基本的に“他罰的”だからである。満たされないからって、、、知らんがな、である。承認欲求肥大化人間に共通する性質だね、これは。
自身がトラヴィス類のくせに、「タクシードライバーみたいな本書け」と編集者に言われると逆ギレするってのは、やはり痛い所を突かれたからか。トラヴィスみたいに凶行を実現させることが出来ないというのは、一見害悪性が低い様でいて、実際はトラヴィスよりも質が悪い印象もあり、その辺りの自身の“小っちゃさ”を自覚していたのだろうね。
この男の行動原理は、常に強烈な自己愛によるもの。詩作による自己表現とか、政治的イデオロギーとか、ゴージャスな女への執着だとか、全部、承認欲求を満たすためのツールでしかない。彼の中に表現したいものがあるのか、政治的野心があるのか、女にチヤホヤされたいのか、それすら分からない。
◆「リモノフの伝記映画ではない」
こういう人間の破綻した生き様を2時間見せられてもね、、、と言いたいところなんだが、セレブレンニコフにすっかりイカレている私としては、全編に貫かれるセレブレンニコフ節が、悔しいかな心地良いのである。
本作でも、時空が随所で歪むが、この監督は、基本的には展開が時系列を追っており、時系列をむやみにイジるなんていうセコイことはしない。時空の歪みは、空間の飛躍や非現実事象で表されており、その手のシーンが出るとニヤニヤするのは、もうセレブレンニコフの術中にはまっている証拠。
また、音楽が良い。私はロックはゼンゼン詳しくないので、その楽曲の持つ時代性やメッセージ性は全く楽しめないのだけれども、それでも、破綻したリモノフのハチャメチャなシーンに流れるロックはどれもカッコイイ。パンフの劇伴一覧を見ると、セックス・ピストルズとかルー・リードとかの、私でも知っている楽曲もある。
パンフに掲載されているセレブレンニコフのインタビューを読むと、彼は生前のリモノフに数回会っており、言葉を交わしたのは最初の一度だけだったとのこと。しかも挨拶程度の。というのもセレブレンニコフは、リモノフのことを「イヤな奴になった」と言っており、その前後のことも言及されているがここにはこれ以上書くのは止めておく。
本作内でリモノフは「自分が実際経験したことしか書かない」と言っているのだが、それもどうやらリアルだったようである。書かないと言うより、「書けない」んだったのだと思うが、何となく納得するエピソードである。
本作にはエマニュエル・キャレールによる同名の原作があるのだが、セレブレンニコフは、本作について「リモノフの伝記映画ではない」と明言しており、リモノフのことを「ロシアのジョーカーみたいなもんだ」とも言っている。ジョーカー、、、アレも嫌いなんだよね、私。
撮影を開始した直後に、ウクライナ侵攻が始まったらしく、撮影計画は狂いまくって、結局制作に5年もかかったというから、本作はかなりの労作と言えるだろう。……けれど、セレブレンニコフ監督じゃなければ恐らく見なかっただろうし、まあ、ハッキリ言って見て楽しくなる映画では全くないですね。
監督は、「今日起こっているすべては、リモノフが書いたことに端を発している。彼は戦争を望み、ソビエト連邦の再来を望んだ」とも言っており、本作を見るとそりゃそーだろ、、、となるよね。だって、プー自身が承認欲求肥大化人間なんだから。そら共鳴するでしょ。承認欲求を暴力で満たそうとするの、止めてもらえませんかね、プーさんよ、、、。
ベン・ウィショーの七変化が見ものです。