映画 ご(誤)鑑賞日記

映画は楽し♪ 何をどう見ようと見る人の自由だ! 愛あるご鑑賞日記です。

アダムの原罪(2025年)

作品情報⇒https://eiga.com/movie/105753/

★★★★★★★


以下、公式HPからあらすじのコピペです(青字は筆者加筆)。

=====ここから。

 ある病院の小児科センターに、左腕を骨折したアダムという4歳の男の子が入院した。栄養失調で痩せこけたアダムは発育が遅れ、骨が脆くなっている。裁判所は移民のシングルマザー、レベッカ(アナマリア・バルトロメイ)に問題があるとし、彼女の面会を制限する命令を下した。

 自らもシングルマザーである看護師長のルシー(レア・ドリュッケール)は、息子と引き離され、親権を失うことを恐れるレベッカに寄り添おうとする。

 しかしレベッカの思いもよらない行動と病院システムの歪みによって、ルシーは次第に追いつめられていく……。

=====ここまで。

 ローラ・ワンデル監督の長編2作目。


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 早、6月半ば。今年も半分過ぎてしまいました、、、ごーん。何でこんなに速いのぉ?? 見たかった映画もたくさん見逃してしまっているし、職場は相変わらずアレだし、なにより、世界も日本もカオスで、この景色はリアルなん???と時々自分の目と頭を疑う日々でございます。

 本作は、公開前から見たいと思っていたのでありました。


◆可愛がっていても虐待

 ローラ・ワンデルの監督作は「Playground/校庭」(2021)がなかなか衝撃的で記憶に新しい。本作も、「Playground~」と同様の手法で、もちろん脚本もあり演出もある作品だが、ドキュメンタリーかと思わせる様な作りである。

 とにかく、説明がほぼないので、流れで自分なりに設定を理解するしかない。最初は、レベッカは夫のDV被害者で、息子のアダムもそれで怪我して病院にいる、、、?と思ったのだが、ゼンゼン違った。このレベッカこそ問題を抱えた人であった。

 外で出される食べ物は身体に毒だと思い込み(?)、4歳のアダムにもそう教え、病院食は食べさせずに、持参した流動食を与えるレベッカ。

 まあ、レベッカの場合は食事だけど、こういう“〇〇は毒”みたいな、ある種の宗教を信じ込んでいる親って、第三者が介入するのが一番難しいパターンだよね。レベッカ自身はアダムに暴力を振るうなどしておらず、アダムも母親大好きなんである。子供を助ける前に、まず親を洗脳から救出しないといけない。

 が、洗脳を解く間にも子供の栄養失調は加速していくので、病院や裁判所は母子隔離をしようとするわけだ。

 ルシーは看護師として、母子隔離が事態を悪化させるのが目に見えているので、制度と実態のはざまで苦悩する、、、というのが本作の縦糸である。横糸としては、他の様々な患者や家族への対応、自身のシングルマザーとしてのあれこれ、同僚や医師との関係、、、などである。

 とにかく、ルシーは本作内でボーッとしている暇がない。常に何かに対処している。これは、日本の病院でも同じような感じじゃないか。私はあまり病院に縁がないが、過去に2度眩暈で入院したことがあり、その際の看護師たちの忙しなさは、それはもう、、、本作で描かれているとおり。私には絶対に務まらない仕事だと心底思った。一つ判断を間違えれば、他人の命に直結するのである。

 そんな常に切羽詰まった状況のルシーが、レベッカ親子の隔離に反対することについて、ネット上の感想で「ルシーはプライベートな理由でレベッカに感情移入してしまっている」みたいなのを見たが、それは多分違う。親子を離すと息子がますます食べなくなるのは、あの状況では容易に想像がつく。息子にとって今一番大事なのは「まともな食事を摂ること」。それが出来なくなることは看護師としてさらに困難な仕事が増えるわけだから避けたいと考えるのは、むしろ極めてロジカルだと思う。

 そもそも、ルシーを見ていて、看護師が情に流されたら現場が回らないことくらい分かるでしょう、、、?


◆死にたくない

 レベッカに悪気がなくても、息子に食べさせないのは明らかな虐待であり、児相みたいな機関の責任者は、レベッカに息子との10日間の面会禁止を言い渡す。アダムと離れないと泣き叫んでいたレベッカが、最終的に息子を施設に入れることに同意したのは、アダムの「ママは好き。でも、死にたくない」の一言だった。

 結局、母親を動かせたのは、息子の「生きたい」という意思表示だったという、、、。なんかもう、このシーンは見ていて泣けてきた。4歳児に「死にたくない」と言わせる母親。

 私も、母親に「死にたくない」と4歳くらいのときに言わざるを得ない状況になったことがあったのを思い出してしまい、、、。まあ、私の場合は、母親に包丁持ち出されたんだけれども。真面目に怖かった。

 多分、この息子ちゃんも、レベッカに病院から連れ出されて階段から落ちたとき、マジで恐怖だったのだと思う。そうでないと「死にたくない」なんて言葉はそうそう出て来ないだろう、4歳児の口から。

 前述のネットの感想「ルシーはプライベートな理由でレベッカに感情移入してしまっている」ってのは、終盤の展開では「感情移入してしまっている」という面ではそうかも知れない。でもそれが「プライベートな理由で」は違う気もする。ルシーは退勤する際にレベッカを車で送るといいながら、シングルマザーの支援施設に送り届けようとするのだから。これはちょっとよろしくないのでは、、、と私も見ていて思った。

 けど、その後、意外な展開になってエンドマークを迎える、、、。これを肯定的に受け止められるかで本作への印象が決まるのでは。私は、まあ、肯定できるかな。レベッカの今後を考えると、なかなかシンドイのではあるが。

 ルシーを演じたのはレア・ドリュッケール。「ジュリアン」でのDV被害を受ける母親役が印象的だが、本作でもちょっと疲れた感じながらキッチリ仕事をこなす演技が素晴らしい。かなりヤバいシングルマザーのレベッカを演じているアナマリア・バルトロメイは、やはり美人。「ヴィオレッタ」の美少女が忘れられないが、良い役者人生を歩んでいる様で嬉しい。

  

 

 

 

 

子供は親の不安や寂しさを紛らわす存在ではない。

 

 

 

 

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